間違える・・・よね

オフィスの1Fになぜか映画のちらしが置いてあった。Vanessa RedgraveとMeryl Streepという大物女優の競演なんていけそうということで、上映日に近くの映画館まで散歩することにした。

女優の競演ものは、数年前に The Hours 「めぐりあう時間たち」を見てから好きになった。1923年、1951年、2001年それぞれ違う時代違う場所に生きる3人の女性の悲劇的な一日を追う。Virginia Woolf役のNicole Kidman、主婦役のJulianne Moore、編集者のMeryl Streep。私は個人的にあまり好きになれなかったKidmanが開眼したような演技でアカデミー賞をとった。Meryl Streepの演技力はいつもながら頭が下がる。でも、一番よかったのは自殺願望のある主婦を演じたJulianne Moor。地味な役柄でも周りを巻き込む狂気が感じられて今も色んな場面が目の前に浮かんでくる。

前置き長くなりました。要するに、女優の競演に間違いなしという経験から、これもはずれないだろうと思って行ったのだが、はい、期待どおりでした。ストーリーに若干の無理があった気もするが、やはりMeryl Streepはすごいの一言。そうそう、題名はEvening「いつか眠りにつく前に」。死ぬ直前に人は誰の名を口にするのだろう。映画の中で重病の主人公が若い頃の自分を回顧する場面が続く。

私の人生は間違いばかり

と嘆く彼女にジャズピアニストらしき黒人が笑いながら言う。

間違いは人生を豊かにする

その数日後、元VCの社長さんにお会いしたとき、彼も同じようなことを言ってみえた。

失敗した人のほうがいい。人の痛みがわかるから

私も失敗文化の中で生きてきたので、間違いとか失敗は、謂わば、十八番なんだが、改めて感動。失敗文化というのは、シリコンバレーの話しで、失敗を許すとか失敗を学習するとか言うもの。でも、これは、極めてビジネス的な視点からモノを言っているのであって、敗者復活戦ありなんだよな、みたいな意味合い。それに、一度負けると勝ち方を覚えるからね、みたいな。

その点、「間違いは人生を豊かにする」というのは、さらに深い気がしました。特に偉ぶっていない、黒人ピアニストなんかにさらっと言われると説得力がある。こいつ、わかってるじゃん。

生まれてこのかた、成功しっぱなし、の人の話ってさぞかし面白くないだろうね。その上、転んだことないから、転ぶの怖いっていう気持ちが見えちゃったりすると、こっちも妙に緊張しちゃうしね。その点、間違った人は間違ったなんてことさえ言わないし、威張ったりもしなさそう。私が泣いても笑っても怒っても、大丈夫だよ、って言ってくれそうだ。

天気のなせる成功体験

先日、雑誌のインタビューを受けていて「ストレスを感じない性格らしいですね」と言われ、ちょっとへこんだ。が、おっしゃるとおり、楽天的というか、物事をあまり気にしないというか、くよくよしないというか、嫌なことはすぐ忘れてしまうというか、あっさりしているというか、ストレスがたまらない性格というか(そのまま)、云々かんぬん、まあ、どれもちょっとニュアンスは違うものの、そんなところであることは同感です。本人も前から気づいてはいました。

しかし、昔からこんな性格だったわけではない。私は、小学校の頃は神経の病にさいなまれるほどけっこう繊細な少女だった・・・覚えがある。うろ覚えだけれど。

それが何故こんな風になってしまったのだろう?と実は今日考えていて、その答えが見つかったような気がするのでここに書きとめている。それは、今朝方、某会社の取締役会出席のためにバスに乗って地下鉄に乗って、そして、歩道を歩いているときに起こった。上を見ると真っ青な空なのだ。「いいお天気だなあ」 その時、私の心の中は真っ白。会社のことも家のことも何も考えていない。とにかくいい気持ち。そして、今更ながら、例のインタビューのことを思い出して、おっしゃるとおりだと思った。忘れられることはいいことだ。嫌なことばかり考えていたら、前にすすむ気など起こらない。どんな辛い時でも、ポカっと忘れる才能が必要。そうしたら、また、頑張れる。

そう。ストレスを感じない(?)のは、カリフォルニアの空のおかげ。シリコンバレーにいると、嫌なことがあっても、外に出るとすっかり忘れた。私だけではない。みんな、同じように絶叫する。そうだ、そうだ、この天気だよお!

人は学ぶ時に、成功体験が必要という。負けて負けての連続は人を強くするが、勝ち方を学ぶわけではない。勝つためには成功体験は必須。あの天気こそ、ストレスマネージメントの成功体験である。もちろん、それだけがじゃないけど、どう考えてこれは相当効きます。だから、辛くなったら、カリフォルニアに行ってください。