投資銀行がバランスシートで仕事を始めたわけ

昨今の金融情勢は1929年以来の非常事態だから、メモが続きます。

前に、バランスシートで仕事しないはずの投資銀行が・・・と書いたけど、これは、半分間違いです。簿外負債があるという意味で。

バランスシートで仕事しないはずの投資銀行は、実際に、リーマンに限らず、バランスシートを十分膨らませていた、つまり、バランスシートで仕事し始めたという事実を、まず、重くみないといけません。

さらに、やはりオフバランス(簿外)も相当あったんだという事実も受け止めないといけません。今回は、最初のバランスシートで仕事をし始めたわけの巻です。

銀行には、商業銀行(コマーシャルバンク)と、証券業務をやっている投資銀行の2種類があります。

商業銀行は、私たちが小学校で習った銀行業務をやっています。つまり、預金者から借りたお金で、債務者にお金を貸す。預金者への利子より債務者への利子が高いために銀行は儲けることができます。

一方で、投資銀行と呼ばれる業務は、もともと日本の証券会社の業務と思っていいはずでした。

商業銀行は間接金融、投資銀行は直接金融という区分けもできます。

もともとの銀行業務をやっている商業銀行はバランスシートを使って商売をする代表のような企業です。お金を使って商売する企業ってあまりない。預金者から預かるお金を負債勘定に、債務者に貸すお金を資産勘定に計上する、こんなに多額のお金をバランスとして計上しておけるのは銀行をはじめとするファイナンシャル企業しかないのです。よって、バランスシートで仕事をするといわれても仕方ないわけです。

それに比べ、投資銀行のはじまりは、日本の証券会社と同様の業務ですから、フィービジネスです。顧客が株を売買する際のフィーや企業のIPOを助けることによるコミッションを生業にするビジネス。1億円の債権の販売をしたとしても、その5%をコミッションとして受け取るなら、バランスシートには1億円が計上されることはなく、利益として得られたフィーが年間を通して残ってやっと5%のみが載ることになります。直接金融といっても、お金は投資家から発行体に流れるから、その仲介をしているにすぎません。

バランスシートを使わないビジネスというのは、リスクをとらないビジネスです。リスクをとるのは、投資家だけです。

しかし、今回の金融業界崩壊で最初に表面化したサブプライムは、住宅ローンの一種ですから、本来は、商業銀行が発行していたもの。なのに、何故、投資銀行がどんどん破綻していったかと考えると変ですよね。

その理由は、住宅ローンが、金融商品の流動化とか証券化とかデリバティブと呼ばれる金融派生商品に変わっていったからです。ローンを実行したオリジネーターである商業銀行は、ローンが流動化したことにより、債権が不良化しても、その債権を投資銀行が買ったことにより、バランスシートから消えちゃったのです。そして、バランスシートに載るはずのない債権=>債務が、本来、バランスシートで仕事をしなかったはずの投資銀行のバランスシート上の負債に計上されたのです。

この金融商品の証券化が投資銀行のバランスシートを膨らませた要因です。この証券化した債権は、サブプライムに留まらず、あらゆる金融商品にまたがり、いくらバランスシートが膨らもうが、これはリスク分散と認識され、投資銀行の格付けは高いものでした。

だから、信用力があるとされ、低コストで資金調達もできます。資産を持たない投資銀行が、資産を持つことにより、より多くの収益を上げます。

どの商売よりも簡単。いいモノをつくるとか、いいサービスを売るとかには、開発にもオペレーションにも工夫がいる。でも、投資銀行業務の成れの果ては、バランスシートを膨らます作業、証券化して買い入れ、売り抜けるだけでいいのです。

しかし、サブプライムやデリバティブは同時に急激な価格下落をし、結果、流動性がなくなりました。サブプライムの価格低下で、他の金融商品もやばいと気付いたのが昨年あたりから、そして、隠れていた負債に数々金融商品が加えられ、同時多発的に破綻したのです。

昨日、久しぶりに元メリルのOさんとお会いしました。某監査法人が選定するベスト50社に選ばれ、Oさんがキーノートだったのです。

Oさんは、日本の証券界で、5年連続アナリストナンバーワンに選ばれている優秀な方で、当時、ネットイヤーグループの大ファンでいてくれた人です。仕事と関係なく、ずいぶん助けていただいたけれど、メリルが一度業績不振に陥ったとき、体を壊され、それ以来、お会いしていませんでした。すごく懐かしくて、パーティーの席では、ずっと私の横にいて、話をしてくれた。

彼曰く、世界のGDPの規模は54兆ドルだそうです。そして、株式などの金融商品は130兆ドル、そして、そして、デリバティブなどの派生商品の規模が596兆ドルです。農業、工業、ITなどモノ作りで得られた対価の10倍以上が、この信用で作られていたのです。

世界の経済って何?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です